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ITに関する責任者である限り、経済産業省がドライブする「共通キャリア・スキルフレームワーク」を知らないでは済まされない!
2010/01/30

 ここしばらく「共通キャリア・スキルフレームワーク(KCSF)」についての情報が無いようです。KCSFはITSSやUISSと情報処理技術者試験をリンクさせる要の位置づけだったはず。
 共通キャリア・スキルフレームワークは経済産業省から発表されており、基本的にITSS、UISS、ETSSで提示されているキャリアフレームワークを横に並べてひとつにしたものたものですが、人材類型をベースに人材像として分類されているところが大きな特徴です。

                 「経済産業省 共通キャリア・スキルフレームワーク」

KCSF.JPG 発表当初から、後から無理やり紐付けるために出された感があり、「分かりにくい」、「何のために?」という疑問の声が多く上がったことも記憶に新しいところです。
 そのイメージのまま現在に至っているようですが、試験制度が今後もスキル標準を中心とした刷新がされる方向にある限り、重要性は高いと言わざるをえません。

3つの視点

 図は、エンタープライズ系スキル標準であるITSSとUISS、及びその共通活用手順、ETSS、共通キャリア・スキルフレームワーク、そして情報処理技術者試験というベースとなる制度や考え方、提供コンテンツなどを、次の視点でまとめたものです。

・企業導入推進者視点
・情報処理技術者試験視点
・スキル標準提供者視点

SD_KCSF_ITSS_UISS_ETSS_TEST.JPG 全体の関連を中心に考えると理解しにくいものも、このように使い手や提供側の視点で捉えると、分かりやすくなってきます。

企業導入者視点

 スキル標準を活用する企業からすると、統合されたフレームワークは参考にはなるものの、ターゲットとしては範囲が広すぎて、扱いづらいものに見えます。したがって、当初からそれぞれ企業モデルごとに提供されているITSS、UISS、ETSSを基本とするほうが、自社のIT人材のTo BeとAs Isを見える化して、そのギャップから育成計画を立てるという考え方にマッチします。

 エンタープライズ系のスキル標準であるITSS、UISSの企業導入は、手順としては同様であるため、企業導入推進者にとっては、手順から見たITSS、UISSの提供コンテンツを、参照モデルとして活用を考えることになるわけです。

情報処理技術者試験視点

 筆者は、カリキュラム委員をしていたこともあり、情報処理技術者試験の内容のよさは深く理解しています。多くの優秀な技術者が、毎回毎回知恵を振り絞って、問題作成、レビュー、しかも採点までを担当しています。世界に誇れる内容と言えるでしょう。

 先に、共通キャリア・スキルフレームワークは、位置づけや目的が分かりにくいと言われていると述べましたが、次のように考えると氷解します。

・企業形態(ユーザー、ITベンダ、SIerなど)に関らず、ITに関る人材の能力向上のために、情報処理技術者試験を分かりやすく位置づけるためのもの

 つまり、UISSはユーザー企業向け、ITSSはITサービス企業向けという限定されたエリアではなくて、「高度IT人材育成」という大きなくくりで、能力向上の道筋を資格試験によって明らかにしている、ということです。

スキル標準提供者視点

 スキル標準は経済産業省から提唱され、具体化された後、IPAがその改善と活用、及び将来計画の立案・実施に責任を持っています。

 IPA/SECが主管であるETSSの扱いが今後どのようになるかは定かではありませんが、少なくともITSS、UISSはITスキル標準センターが取りまとめていて、歩調を合わせた進め方がされています。

 スキル標準の提供者としての視点では、最近の方針から内容の改善より企業に活用してもらうという点に重きが置かれているのは、周知の事実です。
 スキル標準それぞれの提供時期や形態は異なりますが、「参照モデル」との考え方がベースになっています。つまり、共通指標で比較することが目的ではなく、自社独自のモデルを作りこむために提供されているのです。

 そう考えると、より多くの企業に使ってもらえるように、提供するものはできるだけ広くカバーすることになります。使おうとする企業のビジネス形態に関係なく、どの企業でも共通的に使えるものという思想になっています。

 一方、活用する企業側から考えると、自分たちに不要なものも多く提供されることになります。何が必要で何が不要かという判断は各企業に委ねられますが、確固とした考えがないと芯がぶれてしまうことになります。そうすると社員に理解されないものになるという、過去の苦い経験が活用することの難しさ物語っています。

 クロスパズルのように、さあとにかくやってみようという考えでは、失敗する危険が大きいということです。ある意味、制度を作ることに似ていて、企業での実施はかなりのシミュレーションが必要であり、試行錯誤で取組むような内容ではないということです。

 話を戻すと、様々な企業に参照モデルとして提供するということは、別にITSS、UISSというくくりは、企業にとっては特段関係が無く、分かりやすく整理されていればいいとも言えます。

スキルディクショナリの重要性

 スキル標準は、それぞれ提供時期や提供形態が異なるし、既に活用している企業にも影響があることから、参照モデルだからといって統合するのは無理があります。

 こういった状況を踏まえると、提供形態を変えずに参照モデルとして整理できるのは、唯一「スキルディクショナリ」のみだと考えられます。

 スキルディクショナリは、ITSSからしか提供されていませんが、その内容は職種・専門分野で分類されており、名称と合わない不完全な状態だと考えています。
 つまり、スキル標準全体に対する「マスタ」であるべき体系になっていないということです。

 先の図のようにスキルディクショナリを中心に置くことによって、それぞれの位置づけや参照モデルとしての考え方が、より明確になると言えます。

 それぞれ単独では解決できない、また全体を眺めて整理するには制限が多く返って分かりづらくなる。この状況をうまく解くには、先述の各視点ごとに整理すると同時に、スキル標準全体の共通マスタとして「スキルディクショナリ」の位置づけを明確にし、体系だった再構築を進めることが重要です。

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プロフィール

  • 高橋 秀典スキルスタンダード研究所 代表取締役社長
    高橋 秀典

    ユーザー企業IT部門、国内・外資ITベンダでの経験を活かした人材育成の仕組みづくりのコンサルティングサービスを提供しています。プロフェッショナルとして外部の新鮮な風を送り込むことが大きな使命と考え、幅広く貢献していく所存です。

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